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(独)科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業個人型研究さきがけ JST 数学領域 数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索
数理視覚科学とは何か　−　新しい学術分野の提唱
		東京大学大学院数理科学研究科 教授
			新 井 仁 之
	数理視覚科学は，筆者によって立ち上げられた学術分野です．
	数理視覚科学とは，視覚，視知覚，そして錯覚を 最新の先端的数学を駆使しつつ，視覚科学，脳科学，知覚心理学，医学，コンピュータ・ビジョンと協働して研究する分野です．
	たとえば数理視覚科学により，世界で初めて
		幾何学的錯視の錯視量の自由な制御 (新井・新井，2005-2010)
		任意の画像の浮遊錯視画像への変換 (新井・新井，特許取得，米国等の特許取得，JST)
		文字列傾斜錯視の自動生成 (新井・新井，特許取得，JST)
		新しい画像処理システム (新井・新井，特許取得，JST)
		色知覚・色錯視の分析装置 (新井・新井，特許取得，JST)
		媒体，画像データ関連 (新井・新井，特許取得，JST)
		新しいディジタル・フィルタの設計方法 (新井・新井，特許取得，JST)
		その他複数準備中
	などができるようになりました．
	ここでは，数理視覚科学とはどのような学術分野であるかを解説します．
	具体的には．数理視覚科学の基本的なテーマは次のものです：
	私たちがものを見るメカニズムはどのようになっているのか？
	どうして脳は視覚の錯覚を起こしてしまうのか？
	視覚に関連する科学技術，産業のニーズに応えるには？
	はじめに視覚が起こす錯覚の話から始めましょう．視覚が起こす錯覚のことを錯視といいます．詳しくは後で述べますが，錯視は視知覚の研究では重要な役割を果たすと私は考えています．ます錯視の例をご覧いただきましょう．
		ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏
		ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏
		夏ワナー夏ワナー夏ワナー夏ワナー夏ワナー
		夏ワナー夏ワナー夏ワナー夏ワナー夏ワナー
	この文字列，傾いて見えませんか？でもじつは傾いていません．傾いて見えるのは目の錯覚，より正しくは脳の錯覚によるものです．
	もっと別のタイプの錯視もあります．次をご覧ください．
	白い道の十字路のところに，薄黒いスポットが見えませんか？
	実はうす黒いスポットはありません．それが見えるのは錯覚です．これはヘルマン格子錯視と呼ばれているものです．
	次の錯視は私たちが作成したフラクタル螺旋錯視と呼ばれている渦巻き錯視の一種です．
	黒い小さいな島がうず巻いて配列されているように見えます．しかし実際は，同心円状に配列されているのです．この錯視は科学技術振興機構の数学領域のロゴマークにもなってます．
	他にももっといろいろな種類の錯視があります．じつは，視覚の研究では，こういった錯視に関する研究がたいへん重要な役割を果たします．なぜ重要なのでしょう．次にそれを述べていきたいと思います．
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