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  解説付き目次(本書の特徴を解説した解説付き目次です.)
 
第I部 微分と積分(1変数)
ここではまず微分積分の基礎として,関数の極限から学びます.通常の微積分の本では数列の極限から始めることが多いのですが,本書では関数の極限から始めます.その理由はすぐにでも微分に入っていき,関数の解析をできるようにしたいからです.
 
第1章 関数の極限
1.1 写像と関数(微積分への序節)
1.2 関数の極限と連続性の定義
1.3 ε-δ 論法再論
1.4 閉区間,半開区間上の連続関数について
1.5 極限の基本的な性質
 
極限の解説をしていますが,特に1.3節の『ε-δ 論法再論』では,解析学に慣れてくると自由に使っているε-δ 論法の簡単なバリエーションを丁寧に解説します.このバリエーションについては,慣れてくると自明ですが,意外と初学者の方から,「なぜこんな風に使っていいんですか?」と聞かれることが少なくありません.
 
第2章 微分
2.1 微分の定義
2.2 微分の公式
2.3 高階の微分
 
第3章 微分の幾何的意味,物理的意味
3.1 微分と接線
3.2 変化率としての微分.
3.3 瞬間移動しない物体の位置について(直観的に明らかなのに証明が難しい定理)
3.4 ロルの定理とその物理現象的な意味
3.5 平均値定理とその幾何的な意味
3.6 ベクトルの方向余弦と曲線の接ベクトル
3.6.1 平面ベクトル
3.6.2 平面曲線の接ベクトル
 
第3章は本書の特色が出ているところの一つではないかと思っています.微分,中間値の定理,ロルの定理の物理的な解釈や幾何的な意味について述べてます.また,方向余弦の考え方にもスポットを当てました.
 
第4章 平均値の定理の応用例をいくつか
4.1 導関数が一致する関数について
4.2 関数の増加・減少の判定
4.3 関数の極限値の計算への応用(ロピタルの定理)
 
本章では平均値の定理の応用を扱ってますが,ロピタルの定理などは後々,頻繁に使うことになる定理です.
 
第5章 逆関数の微分
  
第6章 テイラーの定理
6.1 テイラーの定理
6.2 テイラー多項式による関数の近似
6.3 テイラーの定理と関数の接触
 
テイラーの定理を解説する際に,「近似」という観点と「接触」という観点があることを明確にしてみせています.
 
第7章 極大・極小
7.1 極大・極小の定義
7.2 微分を使って極大・極小を求める
 
極大・極小を微分を用いて解析することは高校以来,微分の非常に重要な応用の一つとして学んできました.ここでは基本的なことから,テーラーの定理を使って高階微分と極値との関係などを説明しました.応用上重要な多変数関数の極値問題へのウォーミングアップでもあります.
 
第8章 INTERMISSION 数列の不思議な性質と連続関数
8.1 数列の極限
8.2 上限と下限
8.3 単調増加数列と単調減少数列
8.4 ボルツァノ・ワイエルシュトラスの定理
8.5 数列と連続関数
論理と論理記号について
8.6 中間値の定理,最大値・最小値の存在定理
8.7 一様連続関数
8.8 実数の完備性とその応用
8.8.1 縮小写像の原理
8.8.2 ケプラーの方程式への応用
8.9 ニュートン法
8.10 指数関数再論
  
  第8章では数列,実数の完備性,中間値の定理などの証明を与えつつ,イメージを大切にした解説をしました.この章も本書の特徴的なところの一つではないかと思います。
特に,ボルツァノ・ワイエルシュトラスの定理の重要性をアピールしました.また実数の完備性の応用として,縮小写像の原理(不動点定理の一種),ケプラー方程式などについて解説しました.ケプラーの方程式との関連は,実数の完備性が惑星の軌道を近似的に求めるのに使えるということで,インパクトを持って学んでいただけるのではないかと思います(筆者自身,ケプラーの方程式への応用を知ったときは感動した経験がありました).
      
  第9章 積分:微分の逆演算としての積分とリーマン積分
9.1 問題は何か?
9.2 関数X(t) を探し出す
9.3 積分登場
9.4 連続関数の積分可能性
9.5 区分的に連続な関数の積分
9.6 積分と微分の関係
9.7 不定積分の計算
9.8 定積分の計算法(置換積分と部分積分)
9.9 積分法のテイラーの定理への応用
9.10 マクローリン展開を用いた近似計算
 
      
  次に積分の基礎に入ります.逆接線の問題の物理的バージョンから積分の定義がどのように自然に現れるかを述べました(ここの部分の説明は拙著「微分積分の世界」を元にしました).積分を使ったテイラーの定理の証明も取り上げ,ベルヌーイ剰余ととりわけその変形(この変形はフーリエ解析や超関数論でよく使われる)を解説しました.またマクローリン展開を使った近似計算も述べています. 
      
  第II部微分法(多変数)  
  第10章 d 次元ユークリッド空間(多変数関数の解析の準備)
10.1 d 次元ユークリッド空間とその距離.
10.2 開集合と閉集合
10.3 内部,閉包,境界
 
      
  第11章 多変数関数の連続性と偏微分
11.1 多変数の連続関数
11.2 偏微分の定義(2 変数)
11.3 偏微分の定義(d 変数)
11.4 偏微分の順序交換
11.5 合成関数の偏微分
11.6 平均値の定理
11.7 テイラーの定理
 
      
  この章で特徴的なことは,ホイットニーによる多重指数をふんだんに使ったことでしょう.多重指数は偏微分方程式などではよく使われる記法です.また2階のテイラーの定理を勾配ベクトルとヘッセ行列で記述し,次章への布石としてあります. 
      
  第12章 多変数関数の偏微分の応用
12.1 多変数関数の極大と極小.
12.2 極値とヘッセ行列の固有値
12.2.1 線形代数からの準備
12.2.2 d 変数関数の極値の判定
12.3 ラグランジュの未定乗数法と陰関数定理
12.3.1 陰関数定理
12.3.2 陰関数の微分の幾何的意味
12.3.3 ラグランジュの未定乗数法
12.4 機械学習と偏微分
12.4.1 順伝播型ネットワーク
12.4.2 誤差関数
12.4.3 勾配降下法
12.4.4 誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)
12.4.5 平均2 乗誤差の場合
12.4.6 交差エントロピー誤差の場合
 
       
  本章では前章の結果を用いて,多変数関数の極値問題,ラグランジュの未定乗数法を練習問題とともに詳しく解説しました.また,機械学習への応用について解説しました.これは数理系・教育系の大学1年生に,偏微分が機械学習に使われていることを知ってもらい,AIの勉強へとつながってくれることを期待して取り入れたトピックスです. 
      
  第III 部 積分法詳論  
  第13章 1 変数関数の不定積分  
      
  第14章 1 階常微分方程式
14.1 原始関数
14.2 変数分離形
14.2.1 マルサスの法則とロジスティック方程式
14.2.2 解曲線と曲線族のみたす微分方程式
14.2.3 直交曲線族と等角切線
14.2.4 ポテンシャル関数と直交曲線族
14.2.5 直交切線の求め方
14.2.6 等角切線の求め方
14.3 同次形
14.4 1 階線形微分方程式
14.4.1 電気回路
14.4.2 力学に現れる1 階線形微分方程式
14.4.3 一般の1 階線形微分方程式
14.5 クレローの微分方程式
 
      
  積分を学んだあと,実際に積分を使うことを学ぶという目的で,1階常微分方程式のうち,イメージがつかみやすいものを取り上げて基礎的なことを解説しました. 
      
  第15章 広義積分
15.1 有界区間上の広義積分
15.2 コーシーの主値積分
15.3 無限区間の広義積分
15.4 広義積分が存在するための条件
 
      
  広義積分は積分のなかでも重要なテーマです.さまざまな場面で実際に広義積分を使う場合が多く,またコーシーの主値積分など特異積分論としても応用上重要です.本章は少し腰を落ち着けて広義積分の解説が読めるようにしたつもりです. 
      
  第16章 多重積分
16.1 長方形上の積分の定義
16.2 累次積分(逐次積分)
16.3 長方形以外の集合上の積分
16.4 変数変換
16.5 多変数関数の広義積分
数学が出てくる映画
16.6 ガンマ関数とベータ関数
16.7 d 重積分
 
      
  第17章 関数列の収束と積分・微分
17.1 各点収束と一様収束
17.2 極限と積分の順序交換
17.3 関数項級数とM 判定法
リーマン関数とワイエルシュトラス関数
 
      
  本章も解析では極めて重要な部分です.あまり深みにはまらない程度に,とにかく使える定理のみを丁寧に解説しました.微分と極限の交換(項別微分)の定理,積分と極限の交換(項別積分)、微分と積分の交換定理は使う頻度が高い定理なので,よく理解しておくことが必要です.(後者の二つはルベーグ積分論でさらに使いやすい形になります。)
      
  第IV部発展的話題  
  第18章 写像の微分
18.1 写像の微分
18.2 陰関数定理
18.3 複数の拘束条件のもとでの極値問題
18.4 逆関数定理
 
      
  陰関数の定理を不動点定理ベースの証明をつけて解説しました.この証明はバナッハ空間上の陰関数定理の証明方法を使いました.非線形関数解析への布石にもなっています.逆関数定理の証明は陰関数定理を使ったものです. 
      
  第19章 d 重積分と変数変換
19.1 d 次元空間における極座標
19.2 d 変数関数の積分の変数変換の公式
 
      
  付録A さらに発展的な学習へのガイダンス
付録B 問題の解答
参考文献